トップページ 
三庄
みつのしょう
因島南部に位置する港町。中世の三庄は因島島内で中庄につぐ塩の荘園だった。
三庄湾北側の白嶽ノ鼻から眺めた三庄湾と三庄の町。
因島における塩の生産
尾道の浄土寺は南北朝期の一時期、因島の地頭職を得ている。同寺に残る「因島地頭方年貢注文」によると、「三津庄」（三庄）における塩の生産量は、石高に換算して二百二十一石一斗二升三合、銭換算で三十五貫三百七十九文とされている。中庄は約五百三十五石、八十五貫七百十七であり、三庄は中庄とともに、これら塩を積出す水運の港として発展したものと思われる。
塩を輸送する三庄船
文安二年（１４４５）の関税台帳である『兵庫北関入舩納帳』によれば、この年、三庄に船籍を持つ船が十一回、兵庫北関に入っている。三庄船は、二百五十石積級の二郎左衛門の船と、七十石積級の森の船を主としており、備後塩のみを総計千五百石あまり運んでいることが確認できる。この量は明らかに因島における塩の生産量を超えており、三庄が周辺島嶼部で生産された分も集荷する、地域の水運拠点の一つであったことがうかがえる。
帆別銭の徴収
中世、三庄湾の南の岬に美可崎城が築かれた。内海航路をおさえる位置にあるこの城は、因島村上氏の城とされる。伝承によれば、部将・南通弘が沖を行く船舶から帆別銭などを徴収する目的で金山康時を城番としておいたという。文明十五年（１４８３）、村上吉充は嫡子・亀若丸に領地とともに「札浦」（通行料を徴収する港）を譲っており、あるいは三庄は因島村上氏の札浦の一つであったのかもしれない。
Photos
神社・寺院
- 明神社
- 明徳寺：かつては円明寺といった。美可崎城主・南氏の菩提所とされる。
人物
- 南通弘：因島村上家臣。美可崎城を築いたといわれる。
- 南泰統：因島村上家臣。
- 金山康時：南通弘によって美可崎城の城番として置かれたという。
城郭
- 千守城 ：三庄湾最奧部の観音山の尾根に築かれた城。南北朝期に進出してきた小早川氏によって築かれたといわれる。後に因島村上氏の家臣、篠塚貞忠の居城となったともいう。
- 美可崎城：三庄湾の南を扼する三ヶ崎の先端部に位置する城。因島村上氏の海関として機能したともいわれる。
- 土居城：因島村上氏の家臣、南泰統の居館。
その他の関連項目
参考文献
- 林屋辰三郎・編 『兵庫北関入舩納帳』 中央公論美術出版 １９８１
- 『日本城郭体系１３ 広島・岡山』 新人物往来社 １９８０
- 青木茂 『因島市史』 市民編集委員会 １９６８