ラッコ皮(海虎皮、猟虎皮)

らっこかわ

 ウルップ島(ラッコ島)など千島列島が点在するオホーツク海域で捕れたと思われるラッコの毛皮。

  応永三十年(1423)、足利義量の将軍職就任祝賀として、「安藤陸奥守」なる人物が昆布五百把、鷲目銭二万匹(疋)とともに海虎(ラッコ)皮二十枚を贈っている。この「安藤陸奥守」は当時、十三湊を中心にエゾ(北海道)との北方交易で繁栄した下国安東氏の安東康季といわれ、ラッコ皮も昆布とともに交易で入手したものと思われる。16世紀中頃の永禄年間にも蝦夷地から純白のラッコ皮が松前にもたらされており、また文禄二年(1593)、蠣崎慶広は豊臣秀吉にラッコ皮三枚を献上したという。

  北方のオホーツク海域で捕れるラッコ皮の入手経路については 、17世紀初頭、松前に潜入した宣教師アンジェリスとカルワーリヤの報告に詳しい。元和四年(1618)のアンジェリス報告によると、エゾ(北海道)東部にあるミナシの国から松前へ、百艘の船がや鰊(ニシン)とともに多量のラッコ皮を運んできて、頗る高価に売られたという。また元和六年(1620)のカルワーリヤ報告も、北東方から六十三日間の航海を経て来航したエゾ人が、「ラッコ島」でとれたラッコ皮を生きた鷹や鶴、鷲の羽とともに松前氏に献じたとしている。ラッコ皮は高価な品ではあったが、少なくとも当時、かなりの量が流通していたことが分かる。

市場・積出港

参考文献

  • 海保嶺夫 『エゾの歴史 北の人々と「日本」』 講談社 1996