安芸白井氏

あき しらい し

 安芸国の府中を本拠とした国人。元は下総国白井荘(千葉県白井市)を本貫とする千葉姓の関東武士であり、安芸に移住してきたのは室町期とみられている。 府中の惣領家に対し、仁保島(現在の広島市南区黄金山)を拠点とした分家筋の仁保白井氏は、周辺海域を支配して水軍勢力へと成長した。

 安芸分郡守護・武田氏に属し、武田惣領家の若狭移住の際にはともに若狭に移った一族もいた。広島湾頭東部を押さえる地勢上、武田氏と周防大内氏との戦争では武田領国東部の防衛線としてたびたび大内軍を撃退した。
 大内軍の攻勢が強まる中、惣領家は最後まで武田方に留まったが、仁保白井氏は大内方に転向。以後、大内水軍の一翼を担って活躍した。大内氏滅亡後は小早川氏麾下の水軍として活動した。

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府中白井氏の本拠・府中城跡。当時も「安芸国ニテハ銘城」と謳われた堅城だった。 仁保島城跡(黄金山)の遠景。広島湾を押さえる要衝で仁保白井氏の本拠。

当主(府中白井氏)

  • 白井元胤:明応八年(1599)の「武田元繁外九名連署状」(毛利家文書166)に署名がある。
  • 白井備中守 :大永年間、府中城で大内軍の攻撃を防いだ。

当主(仁保白井氏)

一門

  • 白井孫七郎:若狭白井氏の武将。明応七年ごろ安芸府中に来援し、大内軍と戦った。
  • 白井某:永正十四年(1517)十月、有田合戦の際に討死。
  • 白井彦七郎:膳胤とともに大内氏から知行給付を受けた。
  • 白井助四郎
  • 白井松千代:天文八年(1539)当時、府中道隆寺に「白井松千代平朝臣」と誌された仏具があったという(『芸藩通志』)。
  • 白井之胤:備後守。天文十二年(1543)、野坂房顕への「白井氏連署状」に署名。
  • 白井隆胤:孫次郎。天文十二年(1543)、野坂房顕への「白井氏連署状」に署名。
  • 白井弾正忠:弘治二年(1556)十月、大内義長は白井賢胤に白井弾正忠が以前知行していた府中内百五十貫文等の知行を充行っている。

家臣団

  • 桒原次郎左衛門尉:明応七年(1498)五月の仁保島での合戦で羽仁弥五郎を討ち捕った。
  • 田所胤近:
  • 三宅胤信:田所胤近の弟。白井備中守の家臣。府中城籠城戦で活躍。
  • 桑原七郎
  • 児玉新九郎

居館・城郭

  • 府中城
  • 仁保島城
  • 千代城