蔵田 紀伊守
くらた きいのかみ
戦国期、伊勢国に住していたとみられる御師。越後上杉氏の御用商人・蔵田五郎左衛門の一族とみられ、上杉氏から依頼されて同氏の使者の交通上の便宜をはかっている。
上杉輝虎が永禄十二年(1569)二月二十九日付けで蔵田紀伊守に宛てた書状によれば、輝虎は自分の使僧が東海道を上下するにあたって、その安全保障や便宜を蔵田紀伊守に対して求めている。また内容からは、紀伊守が以前から輝虎の使僧の便宜をはかっていることがうかがえる。
上杉輝虎が蔵田紀伊守にこのような依頼を行った背景には、上杉氏の御用商人をつとめる蔵田五郎左衛門や越後国糸魚川伊勢領の代官的立場にあった蔵田左京亮ら蔵田一族の存在があったとみられ、彼らを通じて同族の紀伊守に連絡がとられたものと思われる。
関連人物
その他の関連項目
参考文献
- 永原慶二 「上杉領国経済と蔵田五郎左衛門」 (『戦国期の政治経済構造』 岩波書店 1997)