吉川本「吾妻鏡」

あづまかがみ

 近世吉川家に伝わった鎌倉幕府初期の歴史記録である『吾妻鏡』の写本。本文四十七冊、年譜一冊の計四十八冊からなる。第四十七冊の末尾に「大永貮年九月五日 安房前司弘詮」と奥書にあり、大内氏の家臣で陶氏の一族・右田弘詮が書写したしたものであることがわかる。

  右田弘詮は文亀初年(元年は1501年)に入手した四十二帖の写本を底本として、各地に諸本を探ってその欠を補い、新たに年譜を加えて、大永二年(1522)、約二十年の歳月をかけて完成させた。北条本『吾妻鏡』にはある目録系図を欠き、十三ヶ年間の決失もあるが。同書の誤脱を補正している点も少なくないという。所により朱筆の訂正も入っている。現在、日本における『吾妻鏡』の最善本である。

 

関連人物

  • 右田弘詮

その他の関連項目

参考文献

  • 『毛利元就展ーその時代の至宝ー共通図録』 1997