本蓮寺

ほんれん じ

 室町・戦国期、備前国における日蓮法華宗の布教の重要な拠点を担った寺院。岡山県瀬戸内市牛窓町牛窓にある。牛窓の豪族・石原氏の居城・天神山城に連なる小高い丘に建つ。

本蓮寺の本堂。明応元年(1491)に牛窓の豪族・石原伊俊が檀那となって再建された。国指定重要文化財。
本蓮寺の本堂。明応元年(1491)に牛窓の豪族・石原伊俊が檀那となって再建された。国指定重要文化財。

開山

 正平二年(1347)、日蓮宗大三祖日像の弟子・大覚が草創した道場「牛窓浦法花堂」が寺の起こりとされる。 永享十年(1438)、京都本能寺を創建した日隆とその弟子・日暁が牛窓の石原氏の帰依を受けて諸堂を整え、長禄二年(1458)、日暁を開山として法花堂を本蓮寺と改めた。

石原氏の保護

 明応元年(1492)には石原氏の出身で本蓮寺二世となった日澄を本願とし、石原氏を檀那として本堂の建立がなる。石原氏の保護のもと牛窓の繁栄の象徴ともなった。しかし日澄以後は無住の寺となり、日進が三世となる万治三年(1660)まで荒廃が続くことになる。

Photos

本蓮寺山門。創建の年代は不詳。現在の建物は18世紀中ごろのものとされている。市指定重要文化財。 本蓮寺の中門。明応元年(1491)建立と伝えられる。門の形式は、二本の柱を主柱とする棟門と呼ばれる形式のもの。国指定重要文化財。 番神堂の覆屋。江戸中期に建てられたもの。中には室町後期の神堂が並んでいる。 番神堂。法華経を守護する三十番神を祀った神堂。東より東祠、中祠、西祠の三棟が並んでおり、建築年代はいずれも室町後期とされている。三祠とも保存が良く、室町期の小形社殿の様式を示すものとして貴重な文化財となっている。国指定重要文化財。 祖師堂。創建年代は不詳。再建の時期については、元禄四年(1691)と明和六年(1769)との二説がある。県指定重要文化財。 三重塔。創建の年代は元禄三年(1690)。県指定重要文化財。 本蓮寺の境内。 海側から眺めた本蓮寺。

関連人物

  • 日澄
  • 尾道孫四郎
  • 石原伊俊

その他の関連項目

参考文献

  • 谷沢明 『瀬戸内の町並み 港町形成の研究』 未来社 1991