祇園社(八坂神社)

ぎおん しゃ

瀬戸崎の祇園社(八坂神社)の社殿。
瀬戸崎の祇園社(八坂神社)の社殿。

 長門国瀬戸崎(仙崎)に鎮座する祇園社。瀬戸崎にかなり古くからあったようで、瀬戸崎の鎮守として海上安全や漁業、農業の守り神として信仰されたと思われる。

  創建は天平三年(731)三月で、その際は遣唐使として瀬戸崎に立寄ったことがある吉備真備が聖武天皇に遣わされ、瀬戸崎を見下ろす青海島王子山の頂に尊神廟を建立して祀ったのが始まりという。その後、建保四年(1216)八月、大風のために破壊されたため、勅令により洲崎の地(現在の洲崎社)に移され、承久元年(1219)六月七日に神事(祇園祭)が執り行われたといわれる。

  長門国では唯一の祇園社として長門一国の総鎮守でもあったといい、厚東氏、大内氏、毛利氏の崇敬が厚かったという。また天文二十年(1551)八月、大内義隆は祇園社に参詣して直垂と太刀を奉納したというから、山口を逃れて瀬戸崎にたどりついた義隆が何事かを祈念したと思われる。

  寛文十二年(1672)五月十六日、瀬戸崎の大火で焼失し、延宝六年(1678)十二月、毛利綱広によって現在の地に再建された。近世、瀬戸崎を拠点とした「鯨組」の崇敬も厚かったとみられ、祇園社には彼らが奉納したという「捕鯨図」が残されている。

山口県長門市祇園町

 

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参考文献