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イエズス会定宿の主
いえずすかい じょうやど の あるじ
瀬戸内海の中継港である塩飽で宿を営んでいた人物。布教拠点である豊後と京都を往来するため瀬戸内海を航行していたイエズス会士たちの塩飽における定宿の経営者で、塩飽における様々な便宜を図って彼らを支援した。イエズス会の史料では彼と思われる人物を「地元の顔役の一人」とも記しているので、港町・塩飽においても有力な人物であったとみられる。
塩飽におけるイエズス会の布教
天正元年（１５７３）、日本人修道士・ジョアンとともに京都に向かっていたイエズス会の副管区長・カブラルは途中、塩飽で病気療養のため八日間滞在した。この間、ジョアンは塩飽で布教を行い、その結果、宿泊した宿の主人の妻が塩飽初のキリシタンとなった。以後、この宿が九州-畿内を頻繁に往復するイエズス会士の定宿となる。
宿の主人もまたイエズス会の支援者となった。天正五年（１５７８）、豊後へ向かうため塩飽に着いたものの便船がなかったフロイスに好意を示した。また医療技術を持つフロイスらに患者の治療を依頼し、布教の場を提供したりしている。
危険を冒しての助言
天正七年（１５７９）、毛利氏が織田氏に対し、瀬戸内海の経済封鎖を断行。この時、宣教師たちに塩飽へ立ち寄らないよう連絡を入れており（塩飽は毛利方の能島村上氏の支配下にあった）、それでも入港してしまった彼らに早々に立ち去るよう助言した。この宿の主人は、「豊後の利益を擁護した」として宣教師らの入港前に四十日間にわったて毛利氏に拘束されていたという。
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関連人物
- ルイス・フロイス
- フランシスコ・カブラル
その他の関連項目
参考文献
- 山内譲 『歴史文化ライブラリー１６９ 中世瀬戸内海の旅人たち』 吉川弘文館 ２００４